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「絵本原画ニャー! 猫が歩く絵本の世界」展を見て

お手紙を書いてくださった皆さまへ

今年の夏から秋にかけて、一宮市三岸節子記念美術館で「絵本原画ニャー! 猫が歩く絵本の世界」展が開催されました。(2022年7月30日〜10月10日の期間)

気鋭の若手から誰もが知るベテランまで、15組の絵本作家たちが集まるこの展覧会では、出品作家さんにお手紙を書ける「お手紙コーナー」がありました。設置されたオリジナル「猫ポスト」に投函すると、絵本作家のもとにお手紙が届くという仕組みです。

さて、展覧会は好評のうちに終わり、投函されたお手紙は、それぞれの絵本作家のもと(故人の方はご関係の深い方)へお届けしました。

…そうしたところ、なんとサプライズ! お手紙を読んだ何人かの絵本作家から、お手紙が返ってきました。今回、お預かりしたお返事をここに掲載いたします。

どうぞ、ご一読いただけると嬉しいです。(掲載は五十音順)

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一宮市三岸節子記念美術館の担当学芸員たちによるオリジナル猫ポスト

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あきびんごさんより

3歳から 72歳の方までいろいろな方からお手紙をいただき、ありがとうございました。 なかにはご自分で描かれた猫がたくさんあり、うれしくなりました。というのは、『ねこだらけ』ができたきっかけは、 わが家の庭に集まってくる猫たちを見ているうちに描きたくなって「描いておこう」と書きためたものだったからです。 気になったらなんでも描いておくこと。その楽しみを大切にしていきましょう。 

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あきびんご『ねこだらけ』(くもん出版、2015年)の原画より

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きくちちきさんより

お手紙ありがとうございました。

とても嬉しかったです。

展示原画のことや絵本のこと、

ワークショップについてなどなど

小さなお子さんから大人の方々まで熱いコメントや面白いコメント、響くコメント、

たくさんの温かい言葉に励まされました。

元気になりました。

また新たないろいろな作品を通して皆さんに

思いを伝えられたらなと思います。

本当にありがとうございました。

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お手紙に添えられた猫たち

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きむらよしおさんより

「絵本原画ニャー!展」 においでいただき、 たくさんのお手紙ありがとうございます。 

絵本を作る上で一番初めの読者は作者です。 私が面白いなと思わなければ、面白いわけがありません。 でも、私が面白いと思っても他の人に面白くないと思われるのはしばしばです。 

『ねこガム』は私も皆さんも楽しむことが出来て良かったと思っています。 私の中での面白さは、驚きや、わけのわからないこと、予想外の出来事に気持ちが宙に浮く、足が地面から離れ、ふわふわすることだと考えています。 この本はあまり考えることもなく、どこからかすっと猫が出てきました。 

私は猫を飼っています。 黒い猫です。 全くいう事を聞きません。 勝手気ままです。 その猫が、 突然、 笑ったり、叫んだり、喋ったりして私を驚かせます。

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きむらよしお『ねこガム』(福音館書店、2005年)の原画より

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ささめやゆきさんより

三岸節子記念美術館で「ニャー!」展をみてくださって、お手紙を書いてくださったみなさーーん、ありがとうございます。むかしえらい画かきさんは絵をかいた丈ではまだ途中です。その絵を見てもらってはじめて完せいするのだと言いました。その上に今かいのようにお手紙までかいてもらって、描いたわたしはしあわせです。みなさんありがとうございます。その一言ひと言がわたしを前にすすめてくれます。

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直筆のお手紙

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故・大道あやさんのご家族より

お手紙有難うございます。 

ロシアのウクライナへの侵略によって引き起こされた戦争や、自然災害による大きな被害、悲惨な事故や事件など、今年も暗いニュースが多かったですね。 

そんな中で開催された「猫ちゃんたち」の展覧会、足を運んで下さった皆様が、少しでも明るく楽しい気持ちになってもらえたなら嬉しく思います。 

あの悲惨な原爆にあった大道あやだからこそ、可愛い動物たちや美しい草花をあんなに生き生きと描けたのかもしれません。それが「平和な世界」だから。 

大道あやは60歳で初めて筆をとりました。その絵はとても稚拙で、お世辞にも上手とは言えない様な出来でした。私たち家族が「おばあちゃんは絵を描くのにむいてないわ」と笑うほどでした。 

それから毎日絵を描き続け、見る見るうちにどんどん上達していきました。正に「継続は力なり」です。 そしてあんな素敵な絵を描くようになりました。 

皆さんも絵を描いてみませんか? 年齢や上手下手は関係ありません。取りあえず身の回りの物をスケッチしてみると良いと思います。その時は描いた年月日を忘れずに書き加えておきましょう。 

絵日記を描くのも楽しいですよ。ノートに日々の何気ない出来事を簡単な絵にして、短いコメントを添えておくと、後日振り返って見た時、自分でも笑顔になります。 色鉛筆などでちょっと彩色しておくと尚更良いです。 

世界の全ての人間が、争わず人を傷つけず、決して武器を手にしたり暴力を振るったりしなければ、戦争は起きません。 そうすれば大道あやの絵の世界の様に、美しい草花が咲き、鳥が餌をついばみ、犬や猫が遊びまわる、それを私たち人間が笑顔で見ている・・・ そんな「平和な世界」が来るのですから。

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大道あや『けとばしやまのいばりんぼ』(小峰書店、1980年)の原画より

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にしまきかやこさんより

私は今年八十三才になりました。私が二十代で描いた「わたしのワンピース」や、三十代の「ふんふんなんだかいいにおい」、四十代の「えのすきなねこさん」等の絵本を読んでくださった方々が、今やニャー!展を見て、こうやってお手紙を下さっているという事実を想うと、私の心が遠くにひろびろとひろがってゆくような気持です。長いこと絵本を描き続けてきてよかったなあ! と思います。

幼い頃の心の経験はずっと長いことその人の心に留まっているということは本当のことなのですね。

皆様、やさしいお手紙をありがとうございました。

この先に新しい本を……と言いたい所ですが、私が軟らかい心を持ち続けることが出来て、体が描く力を保っていてくれれば、又新しい本が生まれるかも知れません。皆様お元気で。

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にしまきかやこ『えのすきなねこさん』(童心社、1986年)の原画より

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町田尚子さんより

三岸節子記念美術館で開催された『絵本原画ニャー! 猫が歩く絵本の世界』にお越しくださったみなさま、おてがみをかいてくださったみなさま、ありがとうございました。

たくさんのかたが『ネコヅメのよる』の主役の猫の絵を描いてくれたのがとてもうれしかったです。

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作者からのお手紙

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